しめっぽいレポート

ぴぴぴというひとがおわらいさんをみている

2017/9/3 よしもと×K-PRO即興漫才バトル

以前書くだけ書いてそのままにしていたライブの感想が見つかり、せっかくなので投稿してみたいと思います。

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ルミネtheよしもとでよしもと芸人×K-PRO推薦芸人の即席コンビによる即興漫才のライブを見てきました。

◆練習したいので、相手役お願いします

おわらいをみるようになってからまだまだ日が浅いのでようやく漫才の見方のようなものもわかってきたような気になっているここ最近なのですが、きょうのネタはすべてが即興だったからこそ、より「漫才におけるフォーマット」が意識されて鑑賞眼鍛えられたんじゃないかなという気がする。

たとえば、今回ざんねんながら最下位だったヤーレンズ出井×相席スタート山崎コンビは、与えられたお題「ロケ」について、ケイちゃんが「ロケをしたことないから練習したい」と言い出すところからネタにはいったのだけれど、この「練習したいからちょっと相手役お願いします」とコントにはいる形式がおそらく漫才のスタンダードといわれるやつなのだろうと勝手に理解しています。
この形式からコントにはいったものの、ふたりがたがいに探り探りの状態だったために、設定の確認をしあうだけで終わってしまった印象を受ける出井さん&ケイちゃんコンビに対し、このフォーマットをうまく使ったのがダイタクの二人だったように思います。

大さん&Aマッソ村上さんのコンビでは、漫才の形式をスタンダードなものにすることで、村上さんのエキセントリックなボケがいい具合にストーリーに落とし込まれていたような印象を受けました。

拓さん&三拍子久保さんのコンビでは、後輩である拓さんのほうが主導権を取ってこの形式に誘導したのが意外だったのですが、「久保が文春砲を受ける」という設定に対し「売れてない俺が!?」とコント中もメタに設定自体につっこんだり、きちんとコントの設定にそってつっこんだりと、久保さんがメタとベタをあざやかに行き来する様が見ていて楽しかったです。

人間関係がリアルに変化していく様を見られたドラマチック漫才

優勝したミキ昴生×笑撃戦隊柴田、トリを飾ったLLR伊藤×Aマッソ加納の漫才は、どちらも初対面のふたりがしゃべくってかけあいをしていくうちに徐々に関係性が出来上がっていく様がまるでドラマのようでした。

最初は遠慮がちに敬語で話していた昴生さんが柴田さんと同期だとわかった瞬間、おさえられていた昴生さんのツッコミが一気に爆発。そりゃあ優勝も当然ってくらいの急展開に涙が出るほど笑いました。

伊藤さん&加納さんコンビは加納さんが第一声で「キャラもわからん、他事務所の後輩の女、やりづらいやろ?」とニヤッとしたときに、「むちゃな加納に振り回される伊藤」でキャラ設定がかたまったかな?と思いきや、まさかの伊藤さんの「かわいい」「妹みたいに思ってる」発言が飛び出し、最終的になんだかほっこりした兄妹愛みたいなものに集束していったのが予想外だったし感動すらしてしまいました。初対面の二人の好きな食べ物の話から「親の面倒見るのはお兄ちゃんなんだから塩分控えて」ってセリフが出てくるようになるなんてものすごいドラマ。
伊藤さんの優しそうな人柄が前面に出ていたのもよかったように思います。

先輩×後輩は安心する

オジンオズボーン高松×ユニバース川瀬名人オジンオズボーン篠宮×インディアンス木村の漫才においては、どちらも先輩であるオジンオズボーンのお二人が頼もしくてとても穏やかな気持ちで見ることができました。
とくに、第一声で「ウエストランドの悪口言ってたな!?」と川瀬名人をどやし、その乱雑な口調のままほとんど無茶振りに近いようなボケの振りをし、川瀬名人がテンパって笑いを取れずにいるのをギリギリまで泳がせた高松さんの、後輩のホームで後輩のキャラクターを活かしながら沈黙をも恐れず堂々と黙ったまま舞台の上に立ち続けている姿には貫禄すら感じました。かっこよかった。

ユニバースはらちゃん×ウエストランド井口のコンビもよかった。井口様がはらちゃんに質問し、話の流れを誘導していたため、はらちゃんがなにをこたえてもすべて井口様のツッコミで笑いを回収できる天才的なシステム。腕のある先輩ならではのフォーマットを即座に見つけたところがすごいですね。ふたりともちびっこという見た目のおもしろさも抜群でした。井口様の「見た目でボケろよ!」というツッコミ、すごすぎるだろ。ボケが存在しないことにツッコむなんて。無へのツッコミ。井口様、神の領域にいるのでは?????と思いました。

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最後にぜんぜん関係ない話なのですが、さいきんライブでよく見るモグライダーの「ムヒのCM」のネタがすごい好きです。
モグライダーのネタがその日のともしげさんのできなさ具合に左右されることは言わずもがなだと思うのですが、日によっては芝さんの器用さが際立って見える時もあって、というのも、ムヒのネタにおける「すっと効く」の芝さんのお手本をさらっと見れちゃう時もあれば、「すっと効く」のあまりの鮮やかさに感動してため息すら漏れる時があるのです。よく考えると、「すっと効く」って「すごい……うますぎる……天才かよ……」と思うようなもんでもない気がするのですが、ともしげさんのあまりの不器用さのおかげで芝さんのそれが際立って見えてしまうのだと思う。相方が普通よりも不器用なためにとてつもなく器用に見えたり、相方が普通よりも器用なためにとてつもなく不器用に見えたり、ともしげさんのできなさがおもしろくありながら、より不器用に見せてくれているのは隣にいるのが芝さんだからなのだな相乗効果ってすごいなっていう余談でした。

2017/10/19 うしろシティのライブ

うしろシティのライブを見に、新宿角座へと行ってきました。印象に残ったところをつらつらとメモがわりに書いていきたいと思います。

オープニングトーク

まずはうしろシティのふたりが登場して、オープニングトーク
(このライブはいつも、①トーク②ネタ③企画④ネタ⑤企画⑥エンディングという構成になっています。)

開口一番に、「きょうはみなさん、すみません。謝らなくてはいけないことがあるんです」と頭を下げるあすわさん。
「実は……」と着ていたグレーのTシャツの裾を引っ張ります。
「ここに、さっき食べたミートソースの染みが。汚い格好で出てきてしまってすみません」
角座へ来る途中、ミートソースのパスタを食べて来たというあすわさん。私服のまま舞台に出る予定だったので気をつけて食べていたものの、いつのまにか染みができてしまっていたそう。
染みをかねこさんがあまりに凝視するので「そんなに見ないでよ。ミートソース、恥ずかしがって俯いちゃうよ」と言い、かねこさんが俯くミートソースの顔真似をしていたのがおもしろかったです。ミートソースの顔真似ってなんだ。
ちなみに、「注意しながらパスタを食べる」のジェスチャーをあすわさんが実演してみせてくれたのですが、『勇者ああああ』出演時の罰ゲームを彷彿させる苦悶の表情をしていました。神の舌がそんな顔で飯食ってやるなよ。「パスタの尻尾の部分がぷらんぷらんならないよう」頑張ったそうです。
「そんなに気をつけてたのについてるってことは、となりの席の人のが飛んできたんじゃない?」と指摘するかねこさん。それには思い至らなかったようで、「うわ!それ最悪じゃん!」とあすわさんは心底嫌そうな顔をしていました。
早速かねこさんが「となりの席の人」を実演。思いっきりぶんぶんと腕を振り回し、「パスタをぷらんぷらん」させて、「いっけえ〜〜〜!」「いや、いっけえ!って言っちゃったらもう違うじゃん!飛ばす気じゃん!」。

フリートークのとき、すぐにエチュードをはじめるかねこさんが好きなのですが(演技も即興の構成もじょうずすぎるとおもう)、きょうはこのかねこさんの即興演劇を堪能できる回でとても楽しかったです。それについてはまたのちほど。

引き続き、食べこぼしのお話。

女性は男性に比べていいおべべ着てるけど、ソース飛ばないの?どうしてんの? とか(このとき、あすわさんが「女性」と言ったのをかねこさんが「女、だろ」とわざわざ訂正したのですが、かねこさんの「女嫌い」もかわいこぶりっこの変奏じゃないかなあ、とにらんでいます。「おれ、女ってよくわかんねえし」っていう男の子はきっとかわいい)、あすわさんによる「かねこの食べもののこぼし方はエグい」というリークとかとか。
「金子は、マーブルチョコみたいなあんなちっちゃいチョコ食べてんのに、ほっぺにぜんぶべたーってついちゃうんだよ?ありえなくない?」
「それもぜんぶ、隣の人のが飛んできてんだよ。マーブルチョコなんて世界的ヒット商品じゃん。そのぜんぶがおれのここに」とほっぺにチョコレートの襲撃を受けてみせるかねこさん。ファンタジー。

つづいて、「一気に寒くなりましたね」というお話。寒いときの着替えってどうしてる?というあすわさんの問いから話題はかねこさんの田舎のことへ。かべだん、まめたん、おもち持ち歩いているなどぜんぜん共感できない雪国あるあるが楽しかったのですが、それにしても、あすわさんはほんとうにかねこさんの田舎話が好きなんだな。このライブ、毎回あすわさんがかねこさんに田舎のことを話してもらいたがるくだりがある気がする。(そして毎回あすわさんも知らない新しいエピソードが出てくるのもすごい)
かねこさんは「え、それはどういうことなの?」などと質問されると、「は?いや、わかるだろ」と(かねこさんのなかではあたりまえのことなので、おそらくものわかりが悪くうつってしまうのであろう)あすわさんにちょっと冷たい言い方をしていたのがとてもよかったです。

かねこさんは大学進学を機に上京してきたわけですが、東京のことを右も左も知らないし、ジャスコで買ったジーパンとトレーナー着ているし、めちゃくちゃ訛っているしで、大学の同級生からとても面白がられたそう。「かねこくんに教えてあげたい!」と周りの子たちが原宿や渋谷に連れていってくれた、と話していたのですが、その様子めちゃ目に浮かびますね。田舎から出てきたからと変に萎縮することもなく、「わー!すげー!」といちいち東京に感動してくれる同級生がいたらたのしくってそりゃあいろいろ連れ回したい。かねこさんの「知らないから教えて」とかっこつけずに言えちゃうところはほんとうにすごいと思います。生きやすそう。

「東京でいちばん驚いたのなに?」というあすわさんの質問への回答が「店と店のあいだに隙間がないこと」で、こちらがびっくり。わたしも地方出身ではありますが、そんな視点ってなかなかない。おもしろい着眼点だなーと思いました。

そんなかねこさんはいまだにサブウェイのシステムがよくわからなくて苦手なのだそうです。友だちと一緒じゃなきゃわかんないらしい。サブウェイってもうそろそろみんな苦手とか難しいって言わなくなってきた気がするよ。あすわさんは「俺、サブウェイは全然平気。動じない」そうです。さすがずっと孤独に生きてきた男。

トークのあと、ネタコーナー。

にほんめのネタが「耳の穴鎮魂祭」のやつだったのですが、すごくすきなネタなのでうれしい。この世に存在しない突飛なワードをつかったネタって、どうしてもワードのおもしろさだけが際立ってしまってそのワードの内容設定が言葉のおもしろさについていけない、みたいなことが多い気がしてあまり得意じゃないのですが、耳の穴鎮魂祭は耳の穴鎮魂祭自体の設定もすごくおもしろくて広がりがあるのでだいすきです。おなじ理由で流れ星の肘神様もすき。

企画:説明をしよう!

絶対こんな企画タイトルじゃなかった。お題として与えられたワードを、同様に与えられた条件にそって説明しようという企画でした。

企画MCはベストフレンズのおふたり。わーい。ベスフレ石塚さんは小中高の国語の教員免許を持っているとのことで、かねこさんが興味深々。進行しようとする石塚さんを制止して、「教育実習とか行ったん?」と質問していました。

そんな国語の先生石塚さんが誰の説明が良かったかをジャッジしていたのですが、そのときのコメントがほんとうに先生っぽくてすごかったです。
「20秒で新幹線について説明しなさい」というお題を出され、時間制限があるため早口で喋りたおしたあすわさんへの講評が
「説明ってことは、聞いているお客さんに理解してもらおうって気持ちが大切ですよね。あすわさんは自分一人でしゃべっていたのがよくないですね」。
うわあ、たしかに先生って姿勢とか気持ちとか見てくるよな。あまりの辛口コメントにあすわさんはそのまま帰ろうとしていました。

一方、かねこさんは「懐かしい感じでブラジルを説明してください」というお題で苦しまぎれに「むかーしむかし」と言っていました。むかしむかしはべつに懐かしくない。

お題とキャラのハマり具合もあって、いちばんじょうずだったのはベスフレ木村さんだったのかなあとおもいます。そういえばつぎの企画もそうなのだけれど、石塚先生の採点結果を全然覚えていない。

企画:リアルリアクション道場

これは企画タイトルあってる気がする。
「ドッキリの内容をあらかじめ知ってしまった」という時に備えて、嘘のドッキリの練習をしよう!という企画。この企画、それはそれはもうかねこさんの即興芝居を堪能できてほんとうにたのしかったです。

そういえば、前の企画のとき石塚さんがふざけて木村さんのことを「きむむ」、あすわさんのことを「あすす」と呼んでいたのですが、かねこさんだけかねこさんだったので「俺のことはえにっくすって呼んでくれ」と言っていました。ひらがなでえにっくす。

中身が激辛、酸っぱい、ビリビリ(ビリビリってなんだよ!と物議を醸す)のシュークリームが当たったときのリアクションをそれぞれ実演。

まずは、どのシュークリームを選ぶか?というところから演技がはじまるのですが、うしろシティのふたりがノリノリで、シュークリームを選ぶまでが長い長い。(実際のシュークリームはすべて甘い)
「うわあー、おれこういうのほんとだめなんだよなー!」とか「え、これ怪しくない?穴っぽいのが……」とかとかMCの石塚さんから早くシュークリームを食えと何度もクレームがはいりつつ、たっぷり小芝居を見せてくれました。もはやリアクションよりも、エチュードの方がメイン。かねこさんは「名脇役、渡辺いっけい」を自称しはじめるほどでした。かねこさんのなかの名脇役のイメージって渡辺いっけいなのかよ。(わたしは津田寛治です)

ビリビリを食べたかねこさんのオーバーリアクション(口からシュークリームを舞台上に落とす)をあすわさんが笑いながらなんども真似をしているのが微笑ましかったです。そのとき、かねこさんはもらったティッシュでとても雑に床を拭いていました。

  • 楽屋で先輩から怒られるドッキリ

かねこさん、木村さんのふたりが先輩役に扮し、後輩のあすわさんに説教をする(が、実はドッキリでした〜)というもの。

仕掛け人役のかねこさんが木村さんに「どういう設定にする?」と相談。木村さんが「俺はかねこさんの仲のいい後輩で、一緒の芸人登山サークルにはいってて、そこでのあすわさんの態度が悪かったからそれを説教する」と設定を提案すると、かねこさんは静かに首を振りました。

「細かく決めすぎだな。こういうのは、自由があったほうが面白いんだ」

名言っぽい。結局、かねこさん&木村さんは仲のいい先輩後輩という設定のみであすわさんを説教することに。かねこさんがいきなりあすわさんを怒鳴りつけるなど、なかなかの迫力でした。「かねこさん、唇ぷるぷるしてる……!」とキレる演技のかねこさんを横から見ている石塚さんも大爆笑。最初はかねこさんの演技に飲まれていたような印象もありましたが、途中から木村さんものってきてすっとんきょうな怒り方をしていたのがすごくおもしろかったです。

  • 楽屋で喧嘩をしているうしろシティに「お前はどっちにつく?」と聞かれるドッキリ

続いては、うしろシティのふたりが仕掛け人役となり、楽屋で喧嘩をしていたところ、後輩の木村さんに「お前はどっちが悪いと思う?」と答えさせるというもの。
先ほどの説教ドッキリのときのように、設定を決めておきますか?という石塚さんに、「えー、きめる?」「いや、いいよ適当にやります」と答えるうしろシティ。あすわさんとかねこさんが即興コントはじめるときには特に事前打ち合わせとかなくてもできちゃうんだな!!!さすがコンビだな!!!!と感動した一瞬でした。そのあとの喧嘩が「かねこがあすわの家に放火したことを理由に喧嘩している」という内容だったんですけど、ほんとに事前に打ち合わせしなくてよかった???
とはいえ、大声で「てめえふざけんじゃねえよ!」と恫喝したり、椅子を思い切り蹴り上げたりと喜劇めいた芝居のあすわさんと、静かなトーンによる不機嫌さの表現と「お前が怒ってるんなら、それが正しいんじゃない?」などカンに触るセリフ選びが巧みで絶妙にムカつくかねこさんとの対比がとても素敵でした。かねこさんのあの妙な生っぽさはなんなんだろう。

  • 通りすがりの人に拳銃を渡され、逮捕されるドッキリ

 最後に、かねこさんが歩いていると向かいからきた人(木村さん)からいきなり拳銃の入った袋を手渡され、その直後職質にやってきた警官(あすわさん)から逮捕されてしまうというもの。
 拳銃を持っているのに職質されてしまい、焦る演技のリアルさと「手に持ってるもの見せてください」「あ、これは手ではないです。僕は手はないです」というふざけかたのバランスが見事でした。
あすわさんがカーディガンの襟元を無線機に見立てて「応援お願いします」と言うと、「違うんです!待ってください!」とあすわさんの引っ張ったカーディガンに顔を近づけて叫び、ついにはあすわさんが無線に見立てたのとは反対側の襟元を引っ張って「違います!違います!」と主張しはじめたのがほんとうにおもしろかったです。演技後、あすわさんに「両肩に無線つけてる警官ってなんだよ」とちゃんとつっこまれていました。 

「ドッキリのリアクションの練習をしよう!」という企画だったはずなのに、すっかり即興劇に夢中になってしまっていたうしろシティのお二人。でも、二人が企画趣旨をずらしてくれたおかげでとても面白いものを見ることができました。笑顔で「これ超楽しい!」と言っている姿もよかったです。